卓球について
オリンピックでのメダル獲得やプロリーグ「Tリーグ」の盛り上がりなど、現在の日本で非常に高い人気を誇る卓球。かつては「地味なスポーツ」と言われた時期もありましたが、今や老若男女が熱狂する国民的スポーツへと進化しました。
卓球の歴史:貴族の雨の日の遊びからオリンピック種目へ
卓球の起源は、19世紀末のイギリスにあります。当時、上流階級の貴族たちが楽しんでいたテニスが、雨のために屋外でプレイできなくなった際、「室内でテニスの代わりができないか」と考え出されたのが始まりです。
当初は、ダイニングテーブルをコートに見立て、本を並べてネットの代わりにし、葉巻の箱の蓋をラケット、シャンパンのコルクをボールにして遊んでいました。その後、セルロイド製のボールが使われるようになると、皮張りのラケットで打ったときの音が「ピン」、台にバウンドしたときの音が「ポン」と聞こえることから、「ピンポン」という愛称で瞬く間に大流行します。
20世紀に入ると競技化が進み、1926年に国際卓球連盟(ITTF)が発足。1988年のソウル大会からオリンピックの正式種目に採用されました。
日本への伝来と「黄金期」
日本に卓球が伝わったのは1902年(明治35年)。ヨーロッパ留学から帰国した坪井玄道(つぼい げんどう)氏が用具を持ち帰ったことがきっかけです。当初は娯楽として広まりましたが、日本人は持ち前の器用さと勤勉さで技術を磨き、1950年代〜1960年代にかけては世界選手権で数多くの金メダルを獲得する「卓球王国」として世界に君臨しました。
なぜ今、日本で卓球がこれほど人気なのか?
一時期の低迷期を経て、現在の日本で卓球人気が爆発している背景には、いくつかの明確な理由があります。
1. スター選手の誕生と、幼少期からの「英才教育」の定着
現在の人気を語る上で外せないのが、「愛ちゃん」こと福原愛さんの存在です。幼少期から泣きながら大人に立ち向かう彼女の姿がメディアで大きく取り上げられ、卓球のイメージは「暗い・地味」から「親しみやすく熱いスポーツ」へと一変しました。
福原さんの成功をきっかけに、日本卓球界はジュニア世代(小学生以下)の育成システムを本格化。石川佳純さん、伊藤美誠選手、平野美宇選手、張本智和選手、早田ひな選手など、「親がコーチとなり、幼少期から自宅やクラブで英才教育を受けた世代」が続々と台頭しました。彼らが世界のトップ(中国など)と互角に渡り合う姿が、日本中を熱狂させています。
2. オリンピックでの劇的なドラマ
オリンピックでの日本代表の活躍は、人気を決定づけました。
2012年ロンドン五輪:女子団体が日本卓球界初のメダル(銀)を獲得。
2016年リオ五輪:男子シングルスで水谷隼選手が初の個人メダル(銅)を獲得。
2021年東京五輪:水谷・伊藤ペアが、絶対王者である中国を破り初の金メダルを獲得。
「中国には勝てない」というこれまでの常識を覆した劇的な金メダルは、日本中に大きな感動を与え、競技の注目度を頂点へと押し上げました。その後も2024年パリ五輪、そして次の世代へとその熱量は引き継がれています。
3. プロリーグ「Tリーグ」の開幕によるエンタメ化
2018年に開幕したプロリーグ「Tリーグ」の存在も大きいです。
これにより、オリンピックの時期だけでなく、年間を通じて世界トップレベルの試合を国内で観戦できるようになりました。会場では派手な光や音楽の演出が行われ、ユニフォームもスタイリッシュに進化。スポーツエンターテインメントとしての価値が大きく向上しました。
4. 誰でも始められ、生涯楽しめる「身近さ」
観るスポーツとしてだけでなく、自ら「やるスポーツ」としての魅力も人気の理由です。
卓球は、体格や筋力の差が比較的結果に直結しにくく、俊敏性や戦術、回転のコントロールといった「技」と「頭脳」で勝負できる競技です。また、天候に左右されず、温泉宿のピンポンから本格的なスクールまで、子どもから高齢者までが一緒に楽しめる「生涯スポーツ」としての敷居の低さが、競技人口の裾野を支えています。